2011年12月2日金曜日

明治大学の課題

明治大学建築学科の3年後期の授業では、スタジオ制といって各先生ごとに設計課題を与え、学生がその課題を見てどのスタジオを選択するか決めて受講する、という形式で授業が行われています。

岡田スタジオではいろいろと悩んだ結果、震災の復興について考える、という課題を出しました。震災復興を課題にするといっても直接的に学生が現地の役に立つことはほとんどなく、いわば被災地の環境を借りて学生が学ぶようなことになってしまうので心苦しいのですが、いずれ今回の経験が被災地や日本の未来にフィードバックされるに違いないと思い、課題としました。 また、今回の震災は政治、経済等も含めその波及範囲が広いので例えば就職の際など、直接的に学生の問題としてもふりかかってくるでしょう。(今のところあまり直接的には影響を感じていないようですが)




























自分はちょうど仙台で友人の仕事をしていたこともあり、高速バスの再開後に津波が押し寄せた現場に足をはこびました。テレビや画像では見ていたはずですが、実際に目の当たりにすると全く言葉を失う状況です。写真は5月初旬の仙台市の様子です。(十字架の写っている所は教会があった場所のようです。十字架はおそらく震災後に信者の方が立て直したのでしょう。)

その時は本当に建築にはなすすべがない、という気持ちだったのですが、大学後期の授業がはじまるころには復興の兆しというべきようなものも出始め、ちょうど仙台市の隣にある七ヶ浜町というところでプロポーザルという設計提案募集があったので、その要項を前半の設計課題とし、学生とともに現地を訪れました。



















七ヶ浜町は北を松島に接しているのですが、松島の地層が連続してきているのではないかと思われる美しい地形が特徴的な町です。なかなか難しい課題にしてしまったため学生の進行が遅いですが、もし設計の完成度としては低くなったとしても、学生達の悩みはいずれ何らかの成果となって現れる思っています。そして、この問いかけは自分にとっても大きな影響を与え続けることでしょう。