2011年12月24日土曜日

戸田邸建て方

1年ほど前の写真になりますが、以前紹介した戸田邸の現場建て方の様子をお伝えしたいと思います。




全体が組み上がるまでが難しいので、レッカー車が2台入っています。住宅では珍しいことです。






まずはこのように柱を建てていきます。



  

 
次に梁で柱同士をつないでいき、





 全体のフレームが組み上がったところで水平、垂直をあわせ、図面通りの寸法に修正していきます。この微調整がなかなか大変でした。










柱の根元から放射状にのびているのが基礎の地中梁です。配筋が終わり、これからコンクリートを打設します。

 


  
     
フレームが組み上がったら、 デッキプレートという鉄板を梁と梁の間に架け渡して床をつくります。


床は屋根の先端まで連続していきます。












































 
 


これで建て方終了です。柱で建物全体を浮かせている住宅です。床は連続した一枚のスラブ(床板)で構成されていて、最後は屋根となって終わります。





















現場監督の中川さんをはじめ、職人さん皆さま本当にご苦労さまでした。
この建て方の工事は難しいところでもあり、(特にこの建物は、、)監理も注意が必要な場面なのですが、自分はかなり好きな瞬間です。完成時と同じくらいの喜びといってもよいかもしれません。お施主さんも何度も現場を見に来られたようで、進行を楽しんでいらっしゃったことと思います。



2011年12月21日水曜日

街の構成

事務所の屋上より。

こう見ると街を構成する直線も美しく見えてきますね。写真は目黒側と山手通りが交差する地点です。エキスパンションジョイントといいますが、橋の部分のみ構造上道路と縁がきられています。
    
    
   
  
  
  

事務所は11階建てのビルの2階にありますが、高層階からの眺めもわるくないですね。設計の依頼を受けて計画敷地を訪れた際、まわりに高い建物があればその上から見下ろすことができないか、必ず確かめてみますが、地上からでは把握しにくい街の構成がよく観察できます。




2011年12月17日土曜日

東京都現代美術館

木場にある東京都現代美術館へ。
写真はほぼ?毎年恒例のブルームバーグの協賛による、平田晃久さん設計のパビリオンです。 ちなみに自分は2008年に制作に関わらせていただきました。その様子はこちらへ。


















鉄板を溶接して作られています。
小さなギャラリーになっているのですが、中は撮影不可なので、外観写真のみ。



なかなか不思議な存在感です。

美術館内部では「建築、アートがつくりだす新しい環境」という展覧会をやっています。自分が以前在籍していた事務所の西沢立衛さん及びパートナーの妹島和世さんが主宰する事務所「SANAA」と東京都現代美術館の共同企画とのことです。こちらも写真では紹介できないのですが、ヴィム・ヴェンダースという映画監督がSANAA設計の「ロレックス・ラーニングセンター」を舞台に撮影した動画が面白かったです。建物が自身のことについて語り出すという3D映像で、カメラワークもすばらしく、自分はまだこの建築を見ていないのですが、なにか建築に対して親しみが湧くというか、愛着のようなものを感じました。




2011年12月15日木曜日

ワークショップ撮影

今日は電機大の授業です。設計エスキスの前に、学生が主体となってワークショップ形式で制作した展示ブースの撮影がありました。
  


撮影は事務所の仕事の際もお願いしている矢野紀行さんです。
いつもありがとうございます。


学生も物の移動などを手伝いながら、モデルとして被写体となりました。



撮影後エスキスへ。後期の授業ももう少しで終了です。


2011年12月13日火曜日

祐天寺

目黒税務署近くにある祐天寺をのぞいてみました。

賽銭箱がユニークですね。纏(まとい)の頭の部分がずらりと並んでいて、現代的なグラフィックです。纏は江戸時代の火消しの際に用いられましたが、これだけ種類があるということはさぞかし火事も多かったのだろうと思います。火事と喧嘩は江戸の華、といいますが、世界的にも類がないほど火事が多かったとのこと。


纏を持って街を練り歩く姿は一種の祭りにも似たものだったのでしょう。復興のため多くの需要が生まれた事実もあると思います。しかし、その文化、考え方が日本の住宅を短命にしている事実もあるのではないか、と思うと複雑ですね。


本堂のようす。

   

大慈悲、の文字が輝いています。  

  
しかし各所に使われた彫刻や手摺などのディティールをみると、かなりの完成度と力の入れ用が感じられます。はたして現代建築はこれに比肩しうる成果を残せるでしょうか?




2011年12月12日月曜日

目黒区役所

所用のため目黒区役所へ行ってきました。



この建築、以前は千代田生命の本社ビルだったのですが、破綻に伴い目黒区役所として再生されました。1966年竣工。建築家、村野藤吾の設計です。
  



エントランスロビーの照明を兼ねたオブジェ?アクリルで出来ています。


 



















これは同じくロビーのトップライトの詳細です。

村野藤吾は箱根プリンスや広島世界平和記念聖堂などの設計で知られる、日本の20世紀を代表する建築家です。反モダニズム的な装飾で知られ、この建物にもところどころ面白いディティールがみられますが、部分的な印象でした。改修の方法や、転用のために使われ方の問題もあるのかもしれません。


 


外壁はアルミの鋳物を使っています。外壁に全面的にアルミを用いた世界初の建物だそうです。多少のエンボスがあり、塗装もしてあるのでそれほど固くない表情をみせています。
 

 

2011年12月10日土曜日

モダンリビング発売

モダンリビング 1月号が発売されました。



















今号から親会社が変わり、リニューアルしたそうです。毎号家作りのテーマを決めて編集されるとか。今号はそのスタートということで、戸田邸を家作りの楽しさを伝えるという役割で表紙および巻頭特集に掲載していただきました。
 

 
お施主さんのブログも大々的に掲載されています。今日まで長い間書き続けてきたかいがありましたね。

モダンリビングは今年61年目ということで、なんと1950年から続いているのですね。一個人の生涯就職期間より会社の一生の方が短いこと(よもすると一職種の一生の方が短いことも、)が多くなってきたこの時代に素晴らしいです。本当に日本の近代(モダン)を体現してきたのだと感嘆します。これからも頑張ってほしいものです。また、リニューアル記念ということで500円だそうです。思い切りましたね。

最後にばたばたとお手数かけましたが、 編集や出版の方々本当にお疲れさまでした。  
  

2011年12月9日金曜日

植物の省エネ

いつもの緑道の脇がイチョウの落ち葉で敷きつめられていました。落葉樹は日照が減り、光合成から得られるエネルギーが葉を維持するためのエネルギーを下回った時に、省エネのため葉を落とします。その際に赤や黄色に紅葉する理由としては諸説あるのですが、葉に残った栄養素が多いほど赤くなり、無駄な栄養素を残さずに落としたものは黄色くなるようです。そのため、たとえばイチョウのように黄色く紅葉する樹種ほど古代から厳しい気候を耐え抜いて生き残っているという話があります。


効率よくエネルギーを作るのではなく、無駄なエネルギーを使わない省エネですね。落葉樹が葉を落とした後には地上の微生物に太陽のエネルギーが与えられ、葉を分解して肥料となって循環していくのでしょう。風力発電にしても地熱発電にしても、もちろん太陽光発電にしても、人間もこの地球のエネルギー循環の中で他の生物と共に生きているという事実を忘れないようにしたいものです。


2011年12月4日日曜日

戸田邸の模型たち

少し前に竣工したのですが、広島で設計監理をしていた「戸田邸」(「広島の家」から名称変更しました)の模型写真を紹介したいと思います。出版社の撮影も何度か入り、12月くらいから雑誌に掲載されると思うので、詳しくはその後にホームページでも紹介したいと思います。


これは実物を1/100に縮小した模型です。周辺の地形や建物も表現しています。住宅は瀬戸内海を望む、ゆるやかな高台の上に建っています。最終の基本形に至るまでにいくつもの案を検討して模型を制作しています。





これが詳細を検討するときに制作した1/30の模型です。いろいろ検討し、つくり直しているうちにぼろぼろになってきましたが、、、これくらいのサイズになると細かいところも検討できます。







地上から見上げた風景。



屋上テラスからの見下ろし。




模型にも長らくお疲れさまでした、と言いたいですね。制作に協力してくれた学生たちもありがとう。


2011年12月2日金曜日

明治大学の課題

明治大学建築学科の3年後期の授業では、スタジオ制といって各先生ごとに設計課題を与え、学生がその課題を見てどのスタジオを選択するか決めて受講する、という形式で授業が行われています。

岡田スタジオではいろいろと悩んだ結果、震災の復興について考える、という課題を出しました。震災復興を課題にするといっても直接的に学生が現地の役に立つことはほとんどなく、いわば被災地の環境を借りて学生が学ぶようなことになってしまうので心苦しいのですが、いずれ今回の経験が被災地や日本の未来にフィードバックされるに違いないと思い、課題としました。 また、今回の震災は政治、経済等も含めその波及範囲が広いので例えば就職の際など、直接的に学生の問題としてもふりかかってくるでしょう。(今のところあまり直接的には影響を感じていないようですが)




























自分はちょうど仙台で友人の仕事をしていたこともあり、高速バスの再開後に津波が押し寄せた現場に足をはこびました。テレビや画像では見ていたはずですが、実際に目の当たりにすると全く言葉を失う状況です。写真は5月初旬の仙台市の様子です。(十字架の写っている所は教会があった場所のようです。十字架はおそらく震災後に信者の方が立て直したのでしょう。)

その時は本当に建築にはなすすべがない、という気持ちだったのですが、大学後期の授業がはじまるころには復興の兆しというべきようなものも出始め、ちょうど仙台市の隣にある七ヶ浜町というところでプロポーザルという設計提案募集があったので、その要項を前半の設計課題とし、学生とともに現地を訪れました。



















七ヶ浜町は北を松島に接しているのですが、松島の地層が連続してきているのではないかと思われる美しい地形が特徴的な町です。なかなか難しい課題にしてしまったため学生の進行が遅いですが、もし設計の完成度としては低くなったとしても、学生達の悩みはいずれ何らかの成果となって現れる思っています。そして、この問いかけは自分にとっても大きな影響を与え続けることでしょう。




2011年11月28日月曜日

紅葉のグラデーション

通勤路にて、ツタの葉が美しい紅葉のグラデーションを見せています。
「九十九里の家」ではお施主さんが塀にツタを這わせようとしていらっしゃるのですが、建築にも関わりの深い植物です。(植物はかなりの力を持っているので、建物に這わせる際は要注意です!)



紅葉の進行具合は光の強さに関係しているので、一枚の葉の中でも先端は赤く、葉が重なっている根元部分は黄色、緑色など色彩の変化をみせています。吸盤で枝が固定されているため風が吹いても葉の動きが少ない、ツタならではの紅葉といえるかもしれません。


広島で設計した戸田邸の庭には「トウカエデ ハナチルサト」(Acer buergerianum 'Hanachirusato')という、新芽から紅葉まで、葉が七色に変化するという樹を植木屋さんに教わって植えました。自分はまだ緑の時しか見ていないのですが、これからが楽しみです。



2011年11月25日金曜日

新しいものと古いもの

プレゼント購入のためアンティークショップへ。




















  
時を経てきたもの、という共通性が雑多な種類の品々を並べながらも美しい統一感を生みだしています。
  


   
自分の設計でも、元の建物の雰囲気を残しながらリノベーションする場合や、新築でも新しすぎてなにかまわりのものとしっくりこない場合、アンティークの家具や金物などをいれると全体のバランスがとれることがあります。






















長い時を経てきたものが持つ魅力は、なかなか他のものでは達成できませんが、最近のアンティーク風加工の進歩にもめざましいものがあります。この写真に写っている品物の中にもきっと新品が混ざっているのでしょう。 





















人間が古さや新しさなど、それらの情報をどこまで認識することができるのか、脳がどのようにそれを判断しているのか?には興味があります。そういったことも含めて、古いものの良さを積極的に取り入れていきたいという素直な気持ちがありますね。新しいものと対比させたときによりそれぞれの良さが際立つ、ということも多いです。 




 
店はクリスマスの飾りとシャンデリアの競演で華やかな雰囲気でした。




2011年11月23日水曜日

北総花の丘公園

電機大の設計第二課題は大学近くにある「北総花の丘公園」というところを敷地にしています。用途は美術館です。共通の課題で、学生達を数人の先生が共同で教えるという授業形式です。

右手にみえるのは飯田善彦さん設計の花と緑の文化館です。 ガラスの大屋根を柱から吊り下げています。

  
この日は霧がかかってたため、水蒸気に緑が反射して視界全体が緑に包まれたような、やわらかな風景でした。学生はこの広大な公園内から自分の計画にあった場所をさがして設計していきます。郊外のニュータウンというような街の歴史が浅い(大規模な造成などで一旦リセットされている)環境というのは比較的設計の手がかりが得にくい場所ですが、どのような提案がでるのでしょうか?


2011年11月22日火曜日

匿名のデザイン

写真の紹介を続けます。続いては日本科学未来館で撮影したものです。
ここはなかなか興味深い光景がひろがっています。

これは何でしょうか?


「スーパーカミオカンデ」に使われている、光電子増倍管と呼ばれるもののひと球です。結構大きいです。この球が何万個と集まってカミオカンデが出来ています。


こちらはタオルやティッシュなどの手拭き関係のものと、右側には水栓が、、




宇宙ステーション内部の手洗いまわりです。無重力状態でも水が飛び散らないよう、 アクリルドームで手洗いが囲われています。排水は下部の排水口から吸引しているのでしょう。他にも壁、天井を問わず(そもそもそういう概念はないのでしょうが)やたらといろいろな所に取手とマジックテープが付いているのが印象的でした。宇宙ステーションの設計というのも面白そうです。




これは何だったか忘れてしまいましたが、これぞ機械!という設備ですね。宇宙関係のものだったかと思われますが、特殊な機能を満たすというただそのことに特化した、匿名性の高いデザインがヴァナキュラーな(土地の風土から自然発生的に生み出された)建築と同様の不思議な魅力を持つことに興味を覚えます。その背後にある、それが生み出される原理を分析していくことで、自分もそのようなものが創れるのではないか?という気がしてきます。



東京の海

ときおりですが、印象的な風景に出会ったときにデジカメで撮った写真などを掲載していきたいと思います。今回はお台場の海を。


黒い海に陽の光が映えますね。


水は全く澄んでいませんが、これはこれで美しいと思えてきます。