2011年11月17日木曜日

葉がタテに生える樹

コノテガシワという、ヒノキの仲間で生垣によく使われる樹を紹介したいと思います。この樹は東京では非常によく見かけますが、よくよく見るとなかなか個性的で、葉が地面に対して垂直に生えているのです。

しかし、どうして?



この樹は針葉樹ですので、元々緯度が低い北方の出身です。そもそも針葉樹は直射日光が少ない環境に適応するため、拡散光を樹の中心部まで取り入れるために針のように細い葉を広葉樹より高い密度で、より幹の中心付近まで生やしています。一見葉が細すぎて陽の光が受けにくいように見えますが、実は針葉樹の方が光を効率よく受けているのです。

さらにこのコノテガシワは葉を鉛直に生やすことにより、雪が降っても自身に積もりにくくしたり、低い角度からの光を受けやすくしているのでしょう。上から見るより横から見た方が葉の密度が高く見えます。



このような植物の工夫にも驚嘆しますが、そういった樹がそれほど緯度の高くない日本にやってきても、変わらず同じように生き続けることにも興味を覚えます。遺伝情報というのは何百万年という時を経て進化していくもので、そう簡単には変わらないのです。


太陽の光をどう取り入れるか?は建築にとっても重要なテーマです。そのヒントは意外と近くに隠されてるのだ、と気づかされます。