2011年11月28日月曜日

紅葉のグラデーション

通勤路にて、ツタの葉が美しい紅葉のグラデーションを見せています。
「九十九里の家」ではお施主さんが塀にツタを這わせようとしていらっしゃるのですが、建築にも関わりの深い植物です。(植物はかなりの力を持っているので、建物に這わせる際は要注意です!)



紅葉の進行具合は光の強さに関係しているので、一枚の葉の中でも先端は赤く、葉が重なっている根元部分は黄色、緑色など色彩の変化をみせています。吸盤で枝が固定されているため風が吹いても葉の動きが少ない、ツタならではの紅葉といえるかもしれません。


広島で設計した戸田邸の庭には「トウカエデ ハナチルサト」(Acer buergerianum 'Hanachirusato')という、新芽から紅葉まで、葉が七色に変化するという樹を植木屋さんに教わって植えました。自分はまだ緑の時しか見ていないのですが、これからが楽しみです。



2011年11月25日金曜日

新しいものと古いもの

プレゼント購入のためアンティークショップへ。




















  
時を経てきたもの、という共通性が雑多な種類の品々を並べながらも美しい統一感を生みだしています。
  


   
自分の設計でも、元の建物の雰囲気を残しながらリノベーションする場合や、新築でも新しすぎてなにかまわりのものとしっくりこない場合、アンティークの家具や金物などをいれると全体のバランスがとれることがあります。






















長い時を経てきたものが持つ魅力は、なかなか他のものでは達成できませんが、最近のアンティーク風加工の進歩にもめざましいものがあります。この写真に写っている品物の中にもきっと新品が混ざっているのでしょう。 





















人間が古さや新しさなど、それらの情報をどこまで認識することができるのか、脳がどのようにそれを判断しているのか?には興味があります。そういったことも含めて、古いものの良さを積極的に取り入れていきたいという素直な気持ちがありますね。新しいものと対比させたときによりそれぞれの良さが際立つ、ということも多いです。 




 
店はクリスマスの飾りとシャンデリアの競演で華やかな雰囲気でした。




2011年11月23日水曜日

北総花の丘公園

電機大の設計第二課題は大学近くにある「北総花の丘公園」というところを敷地にしています。用途は美術館です。共通の課題で、学生達を数人の先生が共同で教えるという授業形式です。

右手にみえるのは飯田善彦さん設計の花と緑の文化館です。 ガラスの大屋根を柱から吊り下げています。

  
この日は霧がかかってたため、水蒸気に緑が反射して視界全体が緑に包まれたような、やわらかな風景でした。学生はこの広大な公園内から自分の計画にあった場所をさがして設計していきます。郊外のニュータウンというような街の歴史が浅い(大規模な造成などで一旦リセットされている)環境というのは比較的設計の手がかりが得にくい場所ですが、どのような提案がでるのでしょうか?


2011年11月22日火曜日

匿名のデザイン

写真の紹介を続けます。続いては日本科学未来館で撮影したものです。
ここはなかなか興味深い光景がひろがっています。

これは何でしょうか?


「スーパーカミオカンデ」に使われている、光電子増倍管と呼ばれるもののひと球です。結構大きいです。この球が何万個と集まってカミオカンデが出来ています。


こちらはタオルやティッシュなどの手拭き関係のものと、右側には水栓が、、




宇宙ステーション内部の手洗いまわりです。無重力状態でも水が飛び散らないよう、 アクリルドームで手洗いが囲われています。排水は下部の排水口から吸引しているのでしょう。他にも壁、天井を問わず(そもそもそういう概念はないのでしょうが)やたらといろいろな所に取手とマジックテープが付いているのが印象的でした。宇宙ステーションの設計というのも面白そうです。




これは何だったか忘れてしまいましたが、これぞ機械!という設備ですね。宇宙関係のものだったかと思われますが、特殊な機能を満たすというただそのことに特化した、匿名性の高いデザインがヴァナキュラーな(土地の風土から自然発生的に生み出された)建築と同様の不思議な魅力を持つことに興味を覚えます。その背後にある、それが生み出される原理を分析していくことで、自分もそのようなものが創れるのではないか?という気がしてきます。



東京の海

ときおりですが、印象的な風景に出会ったときにデジカメで撮った写真などを掲載していきたいと思います。今回はお台場の海を。


黒い海に陽の光が映えますね。


水は全く澄んでいませんが、これはこれで美しいと思えてきます。

2011年11月20日日曜日

目黒川緑道

ある日、事務所の脇を流れる目黒川を上っていくと三軒茶屋にある自宅にたどり着くのではないか?と思い立ち、たどってみると案の定ほとんどドアtoドアでつながっていることが分かりました。それ以来、川をたどるルートで自転車通勤しています。

事務所脇を流れる目黒川の様子。戦前は川で染物屋が友禅流しをしていたらしく、川底の凹凸はその名残だそうです。鴨がその凹凸に生えた藻を食べています。



目黒川がここから暗渠になり、その上が緑道として整備されています。ちょっと見にくいですが、真っ暗なトンネルから川が流れ出しています。



緑道のスタート地点には看板が。目黒川が目黒川緑道となり、さらに烏山川緑道となって世田谷区若林の方に続いています。目黒川の終点は以前在籍していた事務所があった天王洲アイルということで、偶然ですがなにかの縁を感じます。





余談ですが、この地図には名所のマークとともに見どころが紹介されているのですが、下北沢駅周辺に「若者と下北沢のまち」というポイントがあります。若者が見せ物に。。



大橋付近の緑道沿いにはこのような小川が。下を流れる目黒川の水を再生して使っているようです。



鯉も泳いでいるのですが、水深が浅いので背中出ちゃってます。寝ている時とかに背中乾いたりしないのでしょうか?




草花もこのような感じでちょっと雑に植えられています。それがまたよいところ。



途中こんな細いベランダを持つ家を横目に見つつ、、



もう少しで到着です。東京は緑が多い、と地方大都市の方に指摘されることが多いですが、納得出来るような気がします。この緑のトンネルを通って通勤するとほとんど車に出会わないで事務所に到着するので、なにか非現実的な感覚にとらわれます。


PS:その後、目黒川が暗渠になる地点が気になり、川岸に降りてみました。



















岸辺に立つと川はこのように見えます。

暗渠側を見ると、、



















結局真っ暗でよく見えませんでした(画像は明るく加工していますが、、)。
地上の緑道には換気口のようなものが見受けられるので、そこから地下に光が差しているところなど期待していたのですが。。とにかく暗渠部分は11月にもかかわらず蚊が異常に多くて先にすすめませんでした。コウモリの大群がこの穴から出てくるところも見受けられます。そのうち、長年手の入らなかった洞窟のように、新種の生物が棲みはじめたりするのでしょうか?などと想像をふくらませつつ、東京の地下にはいろいろなものが眠っている、ということに改めて気づかされる体験でした。



2011年11月17日木曜日

葉がタテに生える樹

コノテガシワという、ヒノキの仲間で生垣によく使われる樹を紹介したいと思います。この樹は東京では非常によく見かけますが、よくよく見るとなかなか個性的で、葉が地面に対して垂直に生えているのです。

しかし、どうして?



この樹は針葉樹ですので、元々緯度が低い北方の出身です。そもそも針葉樹は直射日光が少ない環境に適応するため、拡散光を樹の中心部まで取り入れるために針のように細い葉を広葉樹より高い密度で、より幹の中心付近まで生やしています。一見葉が細すぎて陽の光が受けにくいように見えますが、実は針葉樹の方が光を効率よく受けているのです。

さらにこのコノテガシワは葉を鉛直に生やすことにより、雪が降っても自身に積もりにくくしたり、低い角度からの光を受けやすくしているのでしょう。上から見るより横から見た方が葉の密度が高く見えます。



このような植物の工夫にも驚嘆しますが、そういった樹がそれほど緯度の高くない日本にやってきても、変わらず同じように生き続けることにも興味を覚えます。遺伝情報というのは何百万年という時を経て進化していくもので、そう簡単には変わらないのです。


太陽の光をどう取り入れるか?は建築にとっても重要なテーマです。そのヒントは意外と近くに隠されてるのだ、と気づかされます。



2011年11月14日月曜日

広島へ

今回は戸田邸の撮影で広島へ。
写真家の矢野紀行さんにお願いしました。




撮影中の姿も印象的です。遠く宮島が望めます。
矢野さん、ご協力いただいたお施主さん、長時間お疲れさまでした。

翌日は広島在住の建築家、中薗哲也さんの江田島にあるプロジェクトを拝見させていただきました。撮影に使っていたアームの長さ35mという!高所作業車に乗せてもらい(自分は全然関係ないのですが、、)そこから海をながめると、


まるで山の頂上から海を見下ろしているかのようです。しかし自分の足元の床面積は2㎡程度。。重力から解放されたような感覚です。

プロジェクトもとても印象的なものでした。土木用の大型コンクリートブロックを積んで意図的にざっくりとした場所を作っているのですが、中を回遊しているとまるで魚礁に集まる魚の気分です。これはいままでに建築でちょっと体験したことのない感覚。工事の方にも船着き場まで送って頂き、お世話になりました。

帰路のフェリーより1枚。



瀬戸内海は本当に海がおだやかです。
併せて全ての周囲を島々に囲まれた海、というなかなか得難いシチュエーションが独特の開放感と囲まれ感を生み出し、どこか懐かしさを感じる、落ちつく環境を作り出しているように感じます。このような敷地で設計する機会を与えて頂いたお施主さんに感謝です。


2011年11月10日木曜日

ワークショップ完成

電機大では千葉ニュータウンにある情報環境学部の建築コースで講師をしています。
このようなのどかな郊外の環境です。



左奥に見えるビルが大学です。
 
 
 
秋を感じさせる光景が続きます。
 


敷地内にはこんな広場が、、


きのこが生えています。その広さはゴルフ場のよう。

同じ敷地内にはクリエーションラボという工房があり、そこで授業を行いました。
情報系のため、CADには強いのですが、実際の建築のスケール感、施工など現場の感覚を養うため、建築図面や模型を展示するブースを設計、制作するワークショップです。




こちらも広大ですね。隣では飛行機の制作もしています。

完成したフォリーの内部空間はこのような状態。シナランバーコア合板による折板構造です。



ここに模型を展示し、照明を設置し完成です。
学生主体で制作をすすめ、構想5週、制作3週で完成しました。設計、模型制作、3D CAD化、構造計算、施工計画などを経て実施しています。




大学の恵まれた施設をやっと使うことができました。
みなさんお疲れさまでした。来年はよりデベロップしたいものです。


2011年11月3日木曜日

電機大の学生を連れて見学会へ















電機大の学生の引率で、建築関係者には有名な群馬県にある星野富弘美術館の見学へ。
こんな素敵なバスをチャーターしていただきました。


大型です。

富弘美術館は小さな円筒状の部屋がたくさん集まってできています。「富弘美術館HP」
建築設計の参考のための見学ということで、キュレーターの方に裏の方まで案内していただき、基本写真撮影不可だったのですが、バックヤードのみ撮影を許可してもらいました。

円と円のくっつくところはこんな風になっています。


展示が紹介できないのが残念ですが、建築の小さな円筒の連続と小さな絵の展示がうまくなじんでいて、なかなか印象的でした。展示壁のRで囲まれているため、平面の壁に展示するのに比べてひとつひとつの作品に集中しやすい、といったことでしょうか。星野さんは事故によって手足が使えなくなり、口で絵筆をくわえて絵を描いているため絵のサイズが小さく、それだからこそ成立する展示方法であることが、展示と建築の親和性を高めているように思いました。



美術館はこのような美しい湖に面していて、環境もすばらしいです。そしてあまり交通の便はよくないのですが、文化の日ということもあって大勢の人達が集まっていたのも印象に残りました。

なかなかおすすめです。学生も刺激を受けたのではないかと思います。
第二課題の美術館の設計に役立ててほしいものです。